どれ程の必要が。

バンドマンでモバイラなBlog

Lenovo『ThinkPad 8』レビュー

Lenovoのフラッグシップノート「ThinkPad」の名を冠したタブレットThinkPad 8を実際に2ヶ月間使用してみてのインプレッションと覚え書き。
「モバイル環境でフルスペックのWindowsを動かす」という、多くのモバイラが夢見てきたであろう端末がこうも普及するとは、本当この分野の進歩って凄いですね。

 新品のThinkPadを買うのは久しぶり。

2012年頃に秋葉原でL420を買って以来だが、なんともタブレットらしからぬ、まんまThinkPadな無骨なダンボールが届いた。
テンション上がる…。

付属品は潔く、殆どUSBケーブルとアダプタのみ。そして本体。

f:id:kamito620:20151107200108j:plain

剛性感むき出しな感じ、アウトカメラのリングが赤く縁取られていること、向きに配慮したThinkPadのロゴ。
すごく格好いい……。

この外観の時点で無条件に「買って良かった」と思った。
起動中に背面ThinkPadロゴの「i」上部が赤く光るEdgeな仕様はネットではあんまり評判が良くなかったように思うが、個人的にはこれすごく格好いいギミックだと思う。
イヤテンション上がるな…。

冗談じゃなく、ThinkPadは外観を眺めているだけで油断すると30分くらい過ごせてしまう。Xシリーズは特にやばい。そういうスピリットをこのThinkPad 8の外観からも充分に感じ取れたのでまずは合格だろう。

中身は至って普通のWindows 8だ。正確にはWindows8.1 with Bing。
Bingをデフォルト検索とすることで広告とし、OS料が上乗せされなくなった。
おかげでWindowsタブレット全般が異様な値下がりを見せていて、これはすごい施策だと思う。普及したもんな。周りに自分以外にもWindowsタブレットを常用している人が数人いるから間違いない。たぶん。

サクサクと初期設定を済ませて、普段使いの環境を一通り構築する。
ローカルアカウントでセットアップして、同期を切ってからMicrosoftアカウントに切り替える点のみ注意。
見た目はタブレットそのものだが、中身は100%Windowsだ。当たり前だが、どのアプリケーションも問題なく動く。購入したのは下位エディションに当たるこのモデルだが、ネット閲覧や簡単なオフィス文書作成であれば2GBのメモリでも充分こなせると感じた。

CPUはBay Trail-T世代のAtom 3770。4コアで省電力。Atomと言うと、かつてネットブックで悪戦苦闘した日々が懐かしいが(当時自分は同じレノボs9eを使っていた)、その鈍足ぶりを思うとものすごい進化だ。今のAtomは当時とは比べ物にならないくらいの性能を有している。特別な使い方をしない、そもそもあまりPCを使わないという人にとってはメインPCとしても充分なんじゃないだろうか。

純正クイックショットカバーの購入も考えたが、背面を保護してくれないため、他の方のレビューブログ等を吟味してAmazonでコレを注文した。

カバーについての所感は商品レビュー欄に投稿してあるので、興味があれば参照してほしい。
薄くて軽くて、スタンドにもなる便利なやつだ。
セッティングを終えカバーも届き、どこにでも連れ回せる超ちっちゃいPC環境が整った。後はどう使うかだ。


     *  *  *


さて、ここからは実際にThinkPad 8を連れ回してみて感じたことをぶっちゃけて書いていく。

■この画面サイズでデスクトップを操るのは無理がある
解像度が高いせいもあるとは思うのだが、それでもやはりモバイルに特化した他のOSには操作性において到底敵わない。
外でタッチ操作をメインとする場合、モダンアプリでできることだけに用途を絞って使った方が良いと感じたが、そうなると結局他のタブレットスマートフォンの方が便利で、ソッチばかり使うことになる。まあ予想通り。

■デスクトップを効率よく操るには「場所」が要る
デスクトップアプリを効率良く使おうと思うとどうしても横置きでの操作となるが、この場合のインターフェースについて。
デフォルトのタッチパネルだけでは細かい操作が不可能に近いので(写真のレタッチとか絶対無理だ)、フリーソフトとして公開されている「TouchMousePointer」をインストールした。
これを使うと、画面の任意の場所をノートPCのトラックパッドのように使うことが出来る。自分の場合は全画面にして、画面のどこをタッチしてもトラックパッドとして認識するよう設定した。
2本指でのスクロールジェスチャにも対応、オンオフ切り替えはタスクトレイのアイコンでワンクリック、と素晴らしい出来。Windowsタブレットを使うのならインストールは必須と言える。
この機能は本来OSにデフォルトで搭載しているべきだろう。作者の方に感謝。

カバーで傾斜を設け横画面にし、TouchMousePointerとソフトキーボードで操作・入力を行う。トラックポイントでの作業となるためマウスよりは厳しいが、このスタイルだとなんとか「ノートPC」として作業を成立させることが出来た。
しかしながらソフトキーボードで画面の半分くらいは食われてしまうのと、やはり8インチだとギリギリブラインドタッチ出来るか出来ないか、くらいのキーピッチなので生産性は低い。
出来ないよりは遥かにマシなのだが。

■やっぱりこれは「小さいPC」だ
で、この「最小構成」はソレはソレとして置いておいて、結局普段は秋葉原で1,500円くらいで買ったノーブランドのBluetoothキーボードとThinkPad純正のBluetoothマウスを繋いで、近所のミスタードーナツでこのブログを書いたりしている。
f:id:kamito620:20151107184750j:plain
こうなってしまうともう使用感は「すごくちっちゃいノートPC」という感じで、それ以上でもそれ以下でもない。普通に使いやすい。ちゃんとした良いBluetoothキーボードが欲しくなってくる。

■メリット/デメリットは?

メインのノートと比べると「軽くてフットプリントが小さい」、「ガチな作業はしづらいけど、場所さえあればやろうと思えば出来なくもない」、「電池持ちが良い」という点がメリットとして挙げられる。「これがないとどうしようもない」というポジションにはなり得ないが、「これだけあればなんとかどうにかできそう」という可能性を持ったマシンだなと。
使って感じたデメリットは「他にもっと便利な代替手段がある」「スマートじゃない」という2点。前者はまあデメリットというか、メリットにも挙げた通りWindowsタブレット全般における立ち位置の話になるので良いとして、後者は割と意外だった点。詳しくは後述。

■バンドマン的な視点から
USBハブもしくはOTGケーブルを介してオーディオインターフェースを接続し音出し確認。問題なく認識し、CUBASEも普通に起動した。が、VSTパフォーマンスのCPUメーターが常時50%くらい振れていて安定しない。再生はできるが異様にリソースを食ってるので、CPU由来の原因な気もする。後日設定を詰めてもう一度試してみたい。
スタンドアローンでGuitar Rig 5 Proを起動したところ、こちらも問題なく動作。
レイテンシーも10msecくらいまで詰められて、まずまず実用可能というところ。
ただしやっぱりメーターを見てみると、CPUの占有率が30~70%を行ったり来たり…。
SoCとドライバの相性なのかも知れない。

f:id:kamito620:20151107184746j:plain


■最大の課題はUSB周り
大抵「周辺機器を接続して使いたい時=本気でPCとして使いたい時」だと思うのだが、オーディオインターフェースの例のように、Windowsタブレットでは大抵のUSBデバイスは普通に使えてしまう。この拡張性の高さは本当に素晴らしいし、なんかあってもつぶしがきくように思えるのはUSB機器が使えるからに他ならない。
こういった場合、上の写真のようにほとんどのユーザーは横画面で使いたいんじゃないかと思うのだが、この時気になるのがUSBポートの位置。

スタンドやケースを使えばもちろん横置きに出来るが、どうしたってUSBの差し込み口が上か下に来てしまう。iPadのように、横置き時にサイドからケーブルを挿せる位置にして欲しかった。

またこれはThinkPad 8に限った問題ではないと思うのだけど、micro USBって何故かどれも差し込みが浅くて奥まで挿さらないようになっている。そのせいかはわからないけれど接続が安定しない。ちょっとした差し込み加減で接続が切れてしまうし、何を差してもカッチリせず若干グラグラするので、ポートの破壊にもつながりそうで怖い。結果取り回しに異様に気を使わねばならず、デメリットの項目に書いた「スマートじゃない」という評価に繋がる次第。

ThinkPad 8に限った話になるが、差し込み口が電源供給のポートと2連になっているmicroUSB3.0のOTGケーブルを使えば、安定感についてはある程度は解消できるような気もする。付属の充電ケーブルはこの形状なのだけど、microUSB2.0のケーブルと違ってカッチリとはまるので、グラついたりはしなさそう。それでもちょっと不安な感じはするけども。

もう少しケーブルがしなやかで長くて、L字のOTGケーブルがあれば良いのになあと思う。
良いケーブルがあったら教えて下さい。

■総評:ポテンシャル充分な、便利なサブノート
メリットの項目にも書いたけれど、「これじゃないとダメ!」ってことは全然ない。
むしろ無くても問題ない、というと語弊があるだろうか。
でもそんな感じなんだよね。しばらく使ってみて、自分の中でWindowsタブレットは「無くても問題ないけど、あったら便利」という位置付けになった。
結局ライブで使おうとは現状思えないが、最近はちょっと出かける時に連れ出すのはだいたいコイツになっている。Bluetoothキーボードとマウスを入れても超コンパクトで、PCバッグを持ちださずとも普段使いの鞄にピッタリと収まるのは実に気分がいい。カフェで書き物をしたり、旅行先のホテルで使うのとかに最適だ。

普段使いの便利さ、ThinkPadならではの所有欲を満たしてくれる質感の良さで、意外に手放せないポジションとなっている。ガジェットとして、すごく可愛い。

そう考えると唯一無二だね。ちょっと皮肉っぽいけども。
今年の年末年始はちょっと長く実家に帰ろうと思っているので、そんな用途にはとても適していると思う。
良い時代になったなあ…。鞄にThinkPad 8を突っ込んで、身軽に旅に出よう。







 

 

Copyright(C)2015-2017 Kamito Jingu