どれ程の必要が。

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IK Multimedia『iRig BlueBoard』レビュー

IK Multimedia社のBluetooth接続MIDIフットコントローラ「iRig BlueBoard」のレビューです。
良い部分、残念な部分、設定時に気をつけたいことなど、使用感含め書いていきます。

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荷物を軽くしたい

自分は普段、NIのGuitar Rigを愛用しています。レコーディングからライブに至るまでアンプは使用せず、ライン直のデジタルなギタリストです。
普段のセットアップについては過去記事にて紹介していますのでこちらもご覧ください。 

Guitar Rig+Rig Kontrol 3の組み合わせはルーティングが柔軟にでき、オケ馴染みの良い好みの音が出せるためとても気に入っています。
ですがPCにインターフェースにコントローラのフルセットともなると、結構な重量です。
ちょっとしたリハや、DAWを使わずただギターを弾くだけというシーンでその点がツラかったため、ギターケースに収まるようなコンパクトな機材を買い足そうと思ったのがきっかけで本機に辿り着きました。

製品概要

iRig BlueBoardはiOS・Macに対応した、Bluetooth接続のMIDIフットコントローラです。


従ってiPhone・iPadもしくはMacと組み合わせて使うことになります。
自分の場合は少し古いですが、手持ちのiPhone 5cを使うことにしました。
肝心のアンプシミュレータアプリですが、まずは確実に動作するであろう組み合わせで同社の定番「AmpliTube」を選択。
以前からインストールはしていたんですが、これを機にフルバージョンにアップグレードしました。たまたまセール期間中で、半額の1,200円でゲット。ラッキー! と思いましたが、割とちょこちょこ実施しているようです。

インターフェースには以前少し遊んで以来オクラ入りしていた、初代「iRig」を使用。
現行の「iRig2」発売直前にサウンドハウスで値下がりしていたものです。
ひとまずはこんな手持ちの機材で試用してみました。



パッケージ・付属品・外観

思い立ったが吉日ということで、ちょこっと覗いた近所の楽器屋に一台だけあったものを購入。
置いてあるもんですね。
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付属品は取扱説明書、シリアルNoの書いてあるレジストレーションカードと単4電池です。
Bluetooth接続なのでケーブル類は付属しません。
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本体はとても小さく、またプラスチック筐体であることからかなり軽量です。
端子類は右側面の外部EXP入力端子が2つあるのみと非常にシンプル。
ペダルは樹脂製ですが、踏んだ時に適度なクリック感があります。
靴を履いた状態でちょうど隣り合った二つを同時に踏み込めるようなペダル間隔になっています。

底部には電池ボックスがあります。単4電池4本で駆動。せっかくBluetooth接続なのに電源が必要では本末転倒なので、ここは割り切った良い仕様だと思います。

驚いたのは電池ボックスの中にmicro USB端子があること。
ファームウェアアップデートに使用します。
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自分の買った個体はアップデート前だったので、オフィシャルサイトからパッチをダウンロードしてアップデートしました。
Apple端末専用機器にも関わらず、アップデートにはWindows PCが必須となりますので注意。仕方ないんでしょうが不親切な気がしてしまいます。
詳しいアップデート方法は、オフィシャルのFacebookノートに記載がありますのでご参照ください。アップデートすることで、CoreMIDI対応のアプリと直接ペアリング可能になります。後述のGLOBAL CONTROLSを使うために必要ですので、アップデートしておいたほうが良いと思います。
ちなみにこのmicro USB端子から電源を採ることもできますが、ケーブルを這わせる溝などがある訳ではないので実用的ではありません。

接続と注意点

さて、ここからは実際にiRig BlueBoardとAmpliTubeをiPhoneで使うための設定をしていきます。
まず最初に、自分のIKアカウントに「iRig BlueBoard」のシリアルNoを登録しましょう。
IKアカウントを持っていない人は新規作成してください。ブラウザから登録、もしくは「iRig BlueBoardアプリ」から登録できます。
iOS版のAmpliTubeでは外部機器をコントロールするために別途アドオンを購入する必要がありますが(500円)、iRig BlueBoardのシリアルNoを登録したIKアカウントでAmpliTubeにログインすると、この外部機器コントロール機能が開放されます。シリアルNoを登録しなかったり、ログインしないで使うと余計な課金をしてしまうことになりますので注意してください。

シリアルNoを登録したら、AmpliTubeと接続します。
AmpliTubeアプリを開き、iRig BlueBoardの電源を入れてください。本体のLEDが点滅します。

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画面右上のメニューボタンからSetting⇒EXTERNAL CONTROLSと進み、「iRig BlueBoard」をタップ。
自動的に認識されて接続が完了します。本機のLEDが点滅から点灯に変わったことを確認してください。

※「iRig BlueBoardアプリ」は、AmpliTube以外のシミュレータソフトやDAW、楽譜表示アプリなどと接続する場合に汎用コントローラとして使用するための設定・接続アプリです。
単にAmpliTubeを使いたいだけであれば、「iRig BlueBoardアプリ」は必要ありません。
※「iRig BlueBoardアプリ」経由でもAmpliTubeを操作できますが、この接続方法だとAmpliTube固有のGLOBAL CONTROLSが利用できません。
GLOBAL CONTROLSがうまくアサインできない場合、裏で「iRig BlueBoardアプリ」が立ち上がっていないか確認してください。

AmpliTubeの設定

きちんと接続できれば、あとは必要に応じてペダルに各機能をアサインしていくだけです。
かなり柔軟にアサインできますので、設定方法と注意点を見ていきましょう。

使用するモードを決める

iRig BlueBoardでは、A~Dのペダルをプリセット切替に使う「PRESET」モードと、エフェクトのON/OFFに使う「DIRECT FX」モードが選べます。

「クリーン」「歪み」「ソロ用」などプリセットを作り、それを切り替えて使う「マルチエフェクター」的な使い方か、ひとつのプリセットの中でエフェクトをオンオフしてやりくりする「コンパクトエフェクター」を並べたような使い方か、どちらかを選べるとイメージしてもらえればわかりやすいと思います。
後述しますが、「両モードのいいとこ取り」もできます。

モードの切替は画面右上のメニューボタンから行います。
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Setting⇒EXTERNAL CONTROLSと進み、「iRig BlueBoard」と接続完了するとボタンが出てくるため、どちらのモードで使うか決めたらタップして完了です。
続いてセッティングしていきましょう。

PRESETモード

まずは用途を定めて音作りします。「クリーン」「クランチ」「ソロ」などです。
iOS版のAmpliTubeでは、「前段のエフェクター4つ(直列)、アンプシミュレータ1つ、キャビネットシミュレータ1つ、後段のエフェクター2つ(直列)」と、使えるエフェクトやアンプシミュレータの数が決まっています。

PRESETモードのメリットは、ひとつの音色につき上記の制限数までエフェクトやアンプシミュレータを目いっぱい使えるので、リッチな音作りが可能になるという点です。

エフェクターやアンプシミュレータを並べて、良い感じの音色が出来たら「プリセット」として保存します。保存したプリセットは、プリセット名称をタップすると即時に呼び出されます。

プリセットを作成したら、ペダルに割り当てていきます。ペダルに割り当てたいプリセット名をタップして呼び出したら、割り当てたいペダルに該当する「FAVIRITES」ボタンを長押しします(「A」に割り当てたい場合「01」を長押し)。
これでペダルにプリセットが割り当てられます。

デメリットですが、パッチチェンジスピードがあまり速くありませんので切替時に音切れが生じます。兼業ギタリストの自分でもちょっと考えてしまうレベルのスピードなので、これはちょっと残念。

DIRECT FXモード

ひとつのプリセットをエフェクトボードとアンプに見立て、オンオフすることで音色を切り替えていくモードです。
ひとつのプリセット内には前段・後段含め合計6つのエフェクターを置くことができますが、そのうちの4つをA~Dのペダルに割り当てていくことになります。
(ペダルはアンプやエフェクターのツマミにも割り当てられますが、0か10かの操作しか出来ませんので、エフェクターのオンオフに割当てるのが無難かと思います。)

コントロールチェンジモードのメリットは、エフェクターのオンオフ時に音切れしないことです。
一般的な「ソロでブースターとディレイを踏み、音量を上げる」ようなことが音切れせずにできるため、このモードをメインに使うのが良いように思いました。

ペダルの割り当て方法ですが、画面上でエフェクターのオンオフスイッチを長押しした後に、割り当てたいペダルを踏むだけです。これでオンオフが割り当てられます。

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↑未割り当ての状態

iRig BlueBoardのペダルに機能が割り当てられたエフェクトは、下の画像のようにオンオフスイッチが青くなります。
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↑iRig BlueBoardペダル割り当て

割り当てを解除するには、設定画面からiRig BlueBoardを選択し、割り当て解除したいペダルをタップ。割り当てを削除するか? と聞かれるので、Yesを選択すると解除されます。
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ちなみにiRig BlueBoardを汎用ペダルとして接続した状態(iRig BlueBoardアプリを経由した状態)でペダルを割り当てると、オンオフスイッチが黄色(金色?)になります。
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↑外部MIDIコントローラ割り当て

試してないのでわかりませんが、別のMIDI機器のCCに割り当てた場合も同じように黄色になると思われます。
この状態では割り当てたエフェクトのオンオフは可能ですが、後述するGLOBAL CONTROLSの割り当てはできませんので注意が必要です。

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↑両方割り当て

iRig BlueBoardのペダルと、汎用MIDI機器の両方に割り当てた場合は緑色になります。
同時には使えませんが、どちらを接続しても割り当てた機器でオンオフの操作が可能と思われます。

さて、このモードのデメリットですが、AmpliTubeの仕様上「アンプAとアンプBを切り替えるようなセッティングは不可能」という点が不便に感じました。
GLOBAL CONTROLSを使って擬似的なアンプ切替は可能ですが、その場合も音切れは生じてしまいます。

 

GLOBAL CONTROLSについて

AmpliTubeとiRig BlueBoardを直で接続した場合のみ割り当て可能となる機能です。
汎用MIDIコントローラには割り当てできませんので注意。

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この画面からチューナーやPRESETモードでのバンクアップ/ダウン、プリセットアップ/ダウンなどを割り当てることができます。
「Learn」ボタンをタップし、割り当てたいペダル(A~D、外部ペダル)を踏むだけです。
ここで割り当てたペダルは、PRESETモードやDIRECT FXモードで割り当てた設定よりも優先して機能します。

チューナーはミュートの設定も記憶可能です。スイッチ一発でミュート+チューナー起動、ということもできます。
プリセットセレクトは、いわゆる2ボタン式のマルチでよく見られる、プリセットを上下させて選択する方式です。この時参照するプリセットは、「FAVORITES」に登録されているプリセットになります(最大で16個)。
「FAVORITES」内をアップ/ダウンで選択できるように設定可能です。これはもちろんプリセットチェンジに当たりますので、音切れします。

エクスプレッション端子について

iRig BlueBoardには、外部ペダルが接続可能な端子が2つ付いています。
標準的なラッチ/アンラッチ式のフットスイッチや、エクスプレッション・ペダルが接続可能です。
フットスイッチは本体A~Dの追加ペダルとして、エクスプレッション・ペダルはボリュームやワウなどのペダルとして使用できます。

フットスイッチは一般的なBOSS FS-5Lを試してみましたが、これは相性が良くないのかうまく動作しませんでした。
一応効くには効くんですが、4回踏むごとにオン/オフが切り替わります。かなりの足さばきが要求される謎仕様ですw
ちょっと他にフットスイッチを持ってないので試せていないのですが、他のスイッチを試す機会があれば随時レポートしたいと思います。
このスイッチ使えるよ! という情報があれば教えていただけるとうれしいです。

次にエクスプレッション・ペダルですが、こちらはM-AUDIOの「EX-P」を購入しました。

こちらはきちんと認識され、問題なく動作しています。
これ、1,000円ちょっとのめちゃめちゃ安いペダルなんですが、作りもしっかりしているし踏み心地もBOSSのFV-50シリーズと大差ないように感じます。見た目がチープなのとケーブルが長すぎるのが気になりますが、値段を考えれば文句はありません。
iRig BlueBoardの使い勝手が向上しますので、いっしょに購入することをオススメします。

AmpliTube for iPhoneについて

余談になりますが、ホストアプリとなる「AmpliTube」についても触れておきます。

出音はGuitar Rigと比較してドライで、前に出てくる感じ。
Guitar Rigよりも「アンプっぽい」音圧感が出るようデザインされているように感じました。
オケに馴染ませるにはそれなりに加工が必要そうですが、再現性は非常にリアルで、わかりやすくて好きですね。
歪ませると結構ノイズも出るんですが、その場合は標準装備のノイズゲートの効きが良いのでこいつを噛ませればOKです。エフェクト枠がひとつ埋まるのが痛いですが…。

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普段よく使う5150のシミュレートもあり、良い感じでした。
というか、普通にいつもの音が出せて安心。

AmpliTube for iPhone フルバージョン:2,400円(セール中につき50%オフで入手)
METAL 150:840円(個人的に必須の5150のシミュレート)
Graphic EQ:480円(最終段のローカットやハイ上げなど音質調整に。ブースターとしても)
Wharmonator:480円(ワーミー試したかったため)
Fulltone OCD:600円(実機のライセンス品)

フルバージョンを購入し、その後必要なものをアプリ内課金で追加購入しました。クオリティを考えると安すぎるくらいです。
フルトーンのペダルとか公式ライセンス品なので当然なのかもですが、本物みたいな音します。使い勝手も同じでオールマイティにブリティッシュな歪み。


実機は15,000円くらいするので、600円でいいのかこれ、という感じ。そのうちORANGEのセットと、アコースティックシミュレータは試してみたいと思ってます。

以下、良くないところもざっと上げておきます。

ボリュームペダルが無い:これが地味に一番困った。試行錯誤の末、アンプシミュレータのメインボリュームにエクスプレッション・ペダルを割り当てたんですが、そのままだと踏み込みで0から10になってしまうので、どのアンプモデルでも歪んじゃうんですね。で、結局GLOBAL CONTROLSでエクスプレッションの効きを上限50くらいに設定して、疑似ボリュームペダルとして使っています。
このやり方だとアンプモデルの違うプリセットに飛んだ時に音量や歪の量を揃えるのが難しいんですが、使うアンプモデルを2種類に絞って運用でカバー。
フルバージョンの中にフェイザー2種類も用意するくらいなら、正直ボリュームペダルくらい標準装備しておいてほしいです。

グライコが別売り:これもなあ、特にライン直で音出しする場合には必須なだけに、標準装備していてほしかった。いや、必須だからこそ別売りなのかもだけど。なんとなく悔しいですが速攻課金しました。商売うまい。

セッティングの自由度が低い:これはiPhone版なので仕方ない部分なのかな。エフェクトの配列と数、アンプシミュとキャビシミュの数が決まってます。

ワーミーは使えない:これも使っているiPhoneが古くて、CPUパワーが低いせいかも知れません。音の変化が段階的で滑らかじゃないし、遅延が結構大きいです。
普段曲中で半音下げなどのフラットチューニングをペダルで済ませてしまっているんですが、これは遅延がひどくて使い物になりませんでした。

そんな感じです。ちょいちょい不便な点はありますが、運用でカバー出来る範囲ですし、全体的には満足です。値段も手頃で、「ちょっと使い」には充分すぎる音質だと思います。

総評:楽しいマルチエフェクター自作キット

一通り機能を把握してしまえば、ペダルの割り当てをはじめ自分の使いやすいように組立できる「マルチエフェクター自作キット」みたいなイメージでしょうか。
外部のペダルやスイッチは好きなものを選択できますし、iPhoneを使うかiPadを使うかで操作性や可搬性も変わってきます。
今回はAmpliTubeを試しましたが、BIASなど別のホストアプリも他に評判が良いものがあるようです。アンプに出力できるインターフェースも選べますので、アンプ派の人にもオススメできます。

ギターケースのポケットにスッポリ収まって、僅か250gという超軽量な設計にも関わらずこれだけのポテンシャルがありますので、iPhoneをお持ちのギタリスト/ベーシストは持っていて損はないデバイスかと思います。久々にツボにハマった、非常に良い機材でした。

Copyright(C)2015-2017 Kamito Jingu